シリコーンゴム市場(成形加工)の今後の課題と当社の取り組み(2025年8月現在)

電気自動車、医療機器、電子部品、食品容器…。多様な分野で求められる「安全性」「耐久性」「柔軟性」を兼ね備えた素材、それがシリコーンゴムです。シリコーンゴム市場は今後も成長が見込まれていますが、同時にいくつかの重要な課題にも直面しています。技術・規制・供給・環境・競争の観点から、今後の課題とそららに対する当社の取り組みをご紹介します。当社では、最新の市場ニーズと規制動向を踏まえ、安心してお使いいただける製品の提供を目指しています。

① 技術・製品面の課題

高性能化への要求増

EV・医療・航空宇宙分野では、より高耐熱・高絶縁・低シロキサン放出などの特性が求められ、従来品では対応が難しいケースが増加傾向にあります。
当社の取り組み
各シリコーンゴム材料メーカーが紹介するカタログに掲載されているグレードはもちろん、メーカーのカタログにない特殊なグレードを用いることで、できる限り規格を満たす又は要求される規格に近い特性を持つシリコーンゴムをお客様に提案することで、その可能性を広げていきます。

成形技術の高度化

近年増々、形状が複雑化しており、その対応には、金型の設計・加工、成形技術の高度化が不可欠ではありますが、市場のニーズに対して、業界全体が後れを取っていることは否定できません。
当社の取り組み
今までは製作できなかった形状や製品の寸法公差に対して、当社ではゴム金型メーカーと連携して、日々、チャレンジしながら、様々な難問を現実化してきました。この精神は引き続き、次の世代へと受け継いで、不可能を可能にしていけるよう精進していきます。

② 規制・法令対応の課題

欧州を中心とした環境規制強化

シロキサン類の放出規制、REACH・RoHS・ELVなどの法令対応が厳格化の一途をたどっています。
当社の取り組み
環境規制に対して、より確実でスピーディーな対応を行うため、当社では環境担当を専任化させています。

食品・医療・自動車分野での国際認証取得や行政への認可申請負荷

ISO9001、ISO14001の認証取得だけでは顧客の要求には満足できないため、さらに専門的な分野になるFDA、ISO 13485、IATF16949などの国際規格認証取得が必須要件となり、その認証取得・維持管理に膨大な時間とコストを要してしまいます。
当社の取り組み
昨年、医療機器製造の登録(登録番号09BZ200091)を行いましたが、今現在IATF16949を2026年度末までに認証取得を得られるよう準備中です。

③ サプライチェーン・原材料の課題

原材料価格の高騰と供給不安定性からのサプライチェーンの分散化ニーズ

有機珪素化合物の価格変動や中国依存のリスクが顕在化。数年前に生じた、シリコーンゴム材が市場で枯渇した騒動は記憶に新しい所ではないでしょうか。以降、地政学的リスクやパンデミックを受け、特定国依存からの脱却が求められます。それらのカントリーリスクの把握と対策が必要になってきています。
当社の取り組み
シリコーンゴム材料の適正在庫の所持と代替材料を提案できるような体制の構築実施。材料をワンメーカーのみの使用の場合、価格の上昇及び入手に関するリスクが考えられますので、国内の複数のシリコーンゴムメーカーの材料を常時使用できる環境を整えることで、不測の事態にも柔軟に対応できるようにいたします。

④ 環境・持続可能性の課題

リサイクル困難性

シリコーンゴムは熱硬化性であり、再利用が難しく、廃棄物処理が課題となっています。
当社の取り組み
当社では、本来廃棄するだけであったシリコーンゴムの廃材(バリ等を含む)から、専門業者にてオイルを抽出するRecycleを可能な限り実施し、廃棄量の低減に努めています。

低VOC・グリーン材料への転換

持続可能性を重視する顧客から、環境配慮型材料への移行圧力が高まっています。
当社の取り組み
自動車関連の顧客に2次加硫不要タイプのシリコーンゴム等、環境に配慮できる材料を提案中。主に電力の使用削減に効果をもたらすと期待しております。

⑤ 市場競争・差別化の課題

海外メーカーとの競争激化

中国・韓国・東南アジアなどの低価格・高性能製品との競争が激しく、日本企業のシェアが減少傾向。円安等で国内への回帰現象は存在するものの、未だ限定的であると思われます。

当社の取り組み
価格競争では、海外製品に敵わない場合が存在することは否定できません。しかし、国内生産のメリットである、きめ細かな品質管理、納期対応含めたスピード感、海外では敬遠されがちな小ロット生産等、小回りを利かせた柔軟なご対応で、価格以外でのメリットを感じていただけるようにします。

技術革新とブランド力の両立

高性能化だけでなく、顧客との信頼構築や提案力が求められます。顧客もサプライヤーを選別する時代になっていますので、それに対応するだけの体力を持ち続けることが重要になってくるのではないでしょうか。
当社の取り組み
お客様からの要望に対して、それにお応えするのは当然ですが、さらに仕様・形状・素材等々、一点一点の製品・部品にベストなご提案を心掛け、共和工業に依頼して良かったと思っていただけるよう日々努力を続けて参ります。

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