シリコーンゴムのウエルド・焼け(スコーチ)・ヒケ現象

シリコーンゴムのウエルド・焼け・ヒケ

樹脂の射出成形で起きやすい「ウエルド」「ヒケ」「焼け」などの現象は比較的シリコーンゴム成形では起きづらい現象です。大きな理由としては 樹脂は溶かした樹脂材を金型の中で冷やして固めるため 材料の流動性と固まるスピードのコントロールが難しいのではないでしょうか。その点シリコーンゴム成形では熱した金型内で化学変化が進み 固まるまで時間があります。そのため材料が金型内で流動する時間があり 隅々まで充填されやすいからだと思われます。

シリコーンゴムのウエルドとは?

ゴム成形(加硫)中において、金型内で材料の流れが接合する部分に融合した細い線(ウエルドライン)が残ってしまう現象。

原因

  • 材料の加硫速度が速い場合、加硫剤の配合バランスや加硫温度が高い場合などは加工途中で硬化が進みVノッチ状の細い溝が形成されてしまう。
  • 成形温度が高いため材料が隅々に流動する前に硬化してしまう場合
  • 離型剤の散布量や離型性の強い離型剤を使用した時、材料同士の融着部分に接着不良を起こす場合があります。
  • 着色された材料を使用する場合など、使用する顔料の種類や配合量によって融合線が現れる時があります。

シリコーンゴムのウエルド現象

シリコーンゴムのウエルドライン

対策

  • 加硫スピードをコントロールする必要がある場合は 加硫剤の配合量の調整か成形温度を下げて加硫を遅らせることで解決する場合がある
  • 離型剤の濃度、塗布量、頻度をコントロールする。また離型剤自体の種類を変える
  • 調色材料の場合は 顔料の濃度で流動ラインが現れやすい。特に透明材に調色した際、顔料濃度が薄いと出現しやすいので顔料を増やしてみる

 

シリコーンゴムの焼け(スコーチ)とは?

シリコーンゴムの焼けスコーチ
表面が波打った「焼け」

簡単に言えば、原材料に加硫剤を配合してからしばらく経った未加硫材料が 自然に硬化が進んでしまった状態なのに成形してしまい、材料の流動性が悪く金型の隅々まで充填されず 見た目ではウエルドやショートモールドのように見える現象。もしくは加硫金型温度が高くて材料が充填する前に固まってしまう現象。

原因

  • 原材料に加硫剤を配合後(未加硫材料)、時間が経過して消費期限を過ぎた場合
  • 成形時の金型設定温度が高くて充填前に硬化してしまった場合
  • 金型に材料をセットした状態で時間経過してしまい 成形前に金型温度で材料が焼けて(スコーチ)しまい 成形時には流動性が悪くなった材料に変化している場合がある。図1の「前加工時間」内に金型に材料セットを完了し 成形を開始しなくてはならない。

シリコーンゴムの焼け(スコーチ)

対策

  • 配合後の未加硫材の消費期限を再確認する(季節性も考慮する。夏=短い/冬=長い)
  • 金型温度を下げる。状況により加硫時間は長くする。
  • 加硫剤の見直しや添加量を調整する。取り回しに時間が掛かる製品の成形の場合は加硫剤を減らして加硫が始まる時間を長くする(図1:前加工時間)方法も有効と考えます。

 

シリコーンゴムのヒケとは?

材料の成形収縮や温度差によって生じる凹みやくぼみのことを言う。樹脂の射出成型(インジェクション)に顕著にみられる現象ですが シリコーンゴムにおいては一部を除いてほぼ起きない現象です。樹脂は冷やして固める。ゴムは熱と圧力で固める違いだと思われます。

一部のシリコーンゴムで ヒケに似た現象がおきる場合があります。
5°や10°などの超低硬度シリコーンゴムを成形する場合 体積が大きいボリュームのある製品などで ゴム自体が非常に軟質のため金型内で自身がクッションになって圧縮します。

成形後、金型から開放した際に熱膨張した本体が収縮していく際に ウエルド部分(融合部)などにえくぼのような凹が発生することがあります。熱膨張時には見えませんが収縮することにより浮かび上がります。希ですがゴムのヒケと言ってもいいのかも知れません。

ウエルド現象でもありますので、ゴムのヒケはほぼ起きないと思って構わないのではないでしょうか。

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