エコノミータイプシリコーンゴムが一般的な汎用製品に使用されています

エコノミーシリコーンゴム

一般的なシリコーンゴム製品はミラブル系(固形)のシリコーンゴム原料を金型にセットして熱と圧力で加硫成形(熱硬化)しています。特性に特化した要求が無い限り、基本的には全ての特性が平均点以上を保持する汎用シリコーンゴムのエコノミータイプを使用します。

汎用エコノミーシリコーンゴムの特徴とは?

みなさんが手に取るシリコーンゴムのほとんどがエコノミータイプのシリコーンゴムだと思われます。他の有機系ゴムにはない、シリコーンゴム特有の優れた特徴を多様にそなえています。

耐熱性・耐寒性

-30℃~+150℃ではほとんど特性の変化がなく、一般の有機ゴムがもろく弱い中、シリコーンゴムはゴムとしての弾力性を保持します。

耐候性

長時間、紫外線や風雨にさらされても物性の変化はほとんどありません。

耐油性・耐溶剤性・耐薬品性

スパチュラなどの料理器具での耐油性を有しており、極性有機化合物や弱酸や弱アルカリなどにほとんど侵されません。

電気絶縁性

広い温度範囲および周波数領域にわたって安定性を発揮。水に浸潰しても性能低下はほとんどありません。

圧縮永久歪み

-30℃~+200℃の広い温度範囲にわたって安定しています。

透明性・着色

原材料が半透明であるため、顔料による着色も容易でカラフルな多色展開に向いています。

エコノミータイプシリコーンゴムの物性表

当社では30°~80°の範囲で汎用エコノミーシリコーンゴムとして分類してます。
代表的なエコノミータイプの各硬度別の性能を紹介します。

硬度 30° 40° 50° 60° 70° 80°
原料色 半透明 半透明 半透明 灰白色 灰白色 灰白色
密度 g/cm3 1.11 1.14 1.16 1.24 1.34 1.33
引張強さ MPa 7.6 8.7 8.7 7.3 5.5 8.0
伸び % 740 580 390 280 330 170
100%モジュラス MPa 0.94 0.84 1.81 3.15 3.27 6.31
引裂強さ クレセント形 N/mm 10 11 7 7 11 12
アングル形 N/mm 17 22 24 17 16 19
線収縮率 % 3.0 3.3 3.2 2.9 2.7 2.8
反発弾性(リュプケ式) % 54 56 66 66 52 48
圧縮永久歪 180℃/22h % 41 32 19 21 26 32
絶縁破壊強さ KV/mm 23 23 28 28 29 30
体積抵抗率 TΩ・m 23 9 15 22 7 4
難燃性UL94 HB HB HB HB HB HB
耐熱性 200℃/72hの変化率変化率
硬さ変化ポイント -5 -3 0 -1 +1 +3
引張変化 % -37 -16 -18 0 +14 +3
伸び変化 % -8 -14 -13 -23 -30 -17
250℃/72hの変化率変化率
硬さ変化ポイント -19 -10 -8 -6 -3 +3
引張変化 % -75 -36 -35 -12 -8 -20
伸び変化 % -21 -15 -15 -22 -48 -47
耐油性 IRM901オイル150℃/72h 浸漬後変化率
硬さ変化ポイント -7 -7 -7 -5 -4 -4
引張変化 % -9 -5 +8 +5 +13 +15
伸び変化 % -5 -11 -8 -13 -20 +4
体積変化 % +8 +7 +8 +6 +6 +6
IRM903オイル150℃/72h 浸漬後変化率
硬さ変化ポイント -18 -19 -19 -19 -20 -23
引張変化 % -63 -58 -63 -25 -12 -4
伸び変化 % -45 -46 -49 -33 -26 0
体積変化 % +71 +61 +51 +43 +38 +37

※参考:デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社(旧 東レダウコーニングシリコーン株式会社)

エコノミーシリコーンゴムラインナップ

当社では シリコーンゴム原材料は全て日本製(made in Japan)を使用してます。

日本では4社がシリコーンゴムコンパウンド(原材料)を製造され供給されています。

各社ともに エコノミーシリコーンゴムをラインナップしています。

当社では製品の形状や特徴を加味して最適なシリコーンゴムを選定してます。メーカーや番手を指定することもできます。基本的には最適化した材料を当社で判断してご提供してます。

 

エコノミーシリコーンゴムとその他ゴムとの比較

耐熱性・耐寒性比較

シリコーンゴムは有機ゴムに比べて耐熱性・耐寒性に極めて優れています。150℃ではほとんど特性に変化がなく 半永久的に使用できます。200℃でも連続1万時間以上の使用に耐えると言われています。特別グレードとしては短時間であれば300℃の耐熱を有するグレードもあります。有機系合成ゴムは150℃下でも数時間で劣化が始まり 直ぐに伸び率や弾性なくなってしまいます。

有機系合成ゴムの耐寒性は-20℃程度でゴムとしての弾力が低下してゴム感がなくなってしまいます。シリコーンゴムは-30℃程度まではほぼ不変で弾力性や伸びを維持します。-40℃以上になると徐々に脆化していきますが-60℃程度でもゴム感は維持します。特別グレードとして-100℃程度でも耐えるシリコーンゴムもございます。

耐熱性シリコーンゴム

ゴム素材の中でもシリコーンゴムは耐熱性能に非常に優れた素材です。一般的には工業用汎用グレードでも、150℃前後の温度下ではほとんどシリコーンゴム自体の特性に変化はありません。 200℃の環境でも物性値が常態のおよそ1/2となるまでに1[…]

高耐熱性シリコーンゴム
耐寒性シリコーンゴム

一般的なシリコーンゴムの耐寒温度は-50℃前後になります。-50℃以下の冷凍倉庫や航空機関係や宇宙開発の部品として耐寒性シリコーンゴムが使われています。ミラブルタイプのシリコーンゴムを使って金型を用いた成形品やシートなどを提供しております。[…]

耐寒性シリコーンゴム

耐候性

シリコーンゴムは有機系合成ゴムと比べて優れた耐候性を有してます。オゾン劣化や紫外線や風雨にさらされても物性にはほどんと変化がありません。シリコーンゴムの劣化については下記に紹介してますので参考になさってください。

シリコーンゴムの劣化

シリコーンゴムは劣化・老化しづらい素材です。整形手術などでシリコーンゴムを体内に埋め込むなど聞いたことがあると思います。数年で劣化・老化してしまっては体内には入れられません。ゴムの特性を長期間維持することができるのがシリコーンゴムになります[…]

シリコーンゴムの劣化老化

耐水性・耐スチーム性

シリコーンゴムは長時間、水に浸漬しても冷水・温水・沸騰水とも給水量は1%程度で機械的強度や電気特性にはほとんど影響はしません。エコノミーシリコーンゴムは加圧下ではスチームの影響を受けてしまいますが常圧下ではほどんど影響ありません。有機系合成ゴムはスチームには弱く劣化スピードはシリコーンゴムの比ではありませんのでお勧めできません。

耐スチーム性の引っ張り強度の違い

エコノミーシリコーンゴムは20日程度で半減して50日程度で1/4程度に劣化します。
耐スチーム性シリコーンゴムは20日程度で15%、50日でも30%程度の劣化スピードに抑えられます。

耐スチーム性の伸び率変化の違い

エコノミーシリコーンゴムは20日程度で30%、40日程度で半減してしまいます。
耐スチーム性シリコーンゴムは20日程度で15%、40日程度でも20%程度の劣化スピードに抑えられます。

耐スチーム性の硬さの変化の違い

エコノミーシリコーンゴムは20日程度で5ポイント、50日低度で8ポイント程度劣化します。
耐スチーム性シリコーンゴムは50日程度ではほぼ変化がありません。

耐スチーム性シリコーンゴム

一般的なシリコーンゴムは 高圧スチームのもとでは徐々にシロキサン結合が加水分解して ゴムの寿命を短くしてしまう現象がおきます。その特性を補うために生ゴム・加硫剤の選択、充填剤の表面処理などを改良し、高圧スチームに対応した特殊グレードの紹介に[…]

耐スチーム性シリコーンゴム

耐油性・耐溶剤性・耐薬品性

シリコーンゴムは100℃以下ではニトリルゴムやクロロプレーンゴムに比べると耐油性に劣りますが100℃以上の高温では優れた耐油性を発揮します。

また、シリコーンゴムは耐溶剤性や耐薬品性にすぐれており、アルコールなどの極性有機化合物は希酸・希アルカリなどにはほとんど侵されず10~15%程度の膨潤はするものの優れています。トルエンやガソリンには弱く大きく膨潤してしまいますが溶剤が揮発すると分解や溶解した訳ではないので元の状態に戻ります。

一部 強酸や強アルカリには侵されてしまうので注意が必要です。溶剤の種類によって影響力が違ってきますので変化度合いは確認が必要になります。

耐油性・耐溶剤性・耐薬品性

シリコーンゴムの耐油性・耐溶剤性・耐薬品性 シリコーンゴムは、高温の環境下での耐油性に優れています。 有機系のゴムの中でも、特に耐油性に優れているニトリルゴムやクロロプレーンゴムと比較すると、100℃以下ではやや劣りますが1[…]

耐油性耐薬品性耐溶剤性

難燃性

エコノミーシリコーンゴムは簡単には燃えませんが一度着火すると燃え続けてしまいます。エコノミータイプでもUL94HBのUL規格を取得していて難燃性を有しております。

難燃性に特化した難燃性シリコーンゴムはUL94V-0の規格を取得しており、黒鉛や有毒ガスの発生はほとんどなく、家電製品やOA機器や安全を不可欠な製品に使われています。

難燃性シリコーンゴム

一般的にシリコーンゴムは燃えにくい素材(難燃性)と言われていますが、決して全く燃えない素材(不燃性)ではありません。シリコーンゴムに一度着火してしまうと、そのまま燃え続けてしまう素材です。           難燃性シリコーンゴムとは[…]

難燃性シリコーンゴム

 

※参考資料:信越シリコーン様

Yahoo!ショッピングでシリコーンゴムシートを販売しています

少量対応にお応えするためにYahoo!ショッピング(ストア名:シリコーン・コン・コン!)でシリコーンゴムシートを販売しています。こちらで販売している特性に特化したシリコーンゴム以外は日本製のエコノミータイプシリコーンゴムを使用しています。

エコノミータイプとしては硬度30°~80°、厚み0.5t~最大8t、大きさは標準300mm角から対応しています。通販になりますので当社と直接やり取りする場合と同じ品質で格安販売していますので是非ご利用ください。

Yahoo!ショッピングでシリコーンゴムシートを販売しています

シリコーンゴムのよくある質問Q&A

シリコーンゴム原材料を購入できますか?

当社はシリコーンゴムの加工メーカーですので 原材料の販売は行っておりません。完成製品のお見積もりはできますのでご検討ください。

耐熱性シリコーンゴムが良いのか?汎用シリコーンゴムで良いのか?

汎用のエコノミーシリコーンゴムでも200℃耐熱はあります。専用の耐熱性シリコーンゴムは300℃までの耐性になりますがコストは大幅にアップしてしまいます。オーバースペックになる可能性がありますので汎用シリコーンゴムでもご検討ください。

高引裂性シリコーンゴムが良いのか?汎用シリコーンゴムで良いのか?

シリコーンゴムは機械的強度が弱いので切っ掛けがあるとスーッと亀裂が進行してしまうことがあります。弱点をカバーしたのが高引裂性シリコーンゴムになります。汎用シリコーンゴムの3倍程度の強度はありますが引きちぎれないほどではありませんので留意してください。使用目的によっては高引裂性シリコーンゴムは非常に有効に機能しますので検討してください。コストは高引裂性の方が高くなってしまいます。

コスト重視なので安いシリコーンゴムで見積もりできますか?

当社は上記で紹介している国内の4社シリコーンゴム原材料メーカーから調達しています。海外などの安いシリコーンゴムメーカーからの調達はしていません。コスト協力には限界がございます。当社では国内メーカーの材料を使用し国内生産して安心安全をご提供しております。適性価格でご対応させていただきますので申し訳ございませんがご了承ください。

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