ゴム製品の公差について

当社で生産しているゴムのコンプレッション成形品は、未加硫の配合ゴムを金型に入れ、熱と圧力を加えることでゴムの形状が作成されると同時に硬化するのですが、その製法は意図的にバリを発生させる製法であることと、素材であるゴムの収縮が大きく生じることから、一般的な金属加工品などの寸法公差をそのまま適用することが難しく、一般的に採用されている国際的な規格でもある、ドイツ技術者協会(VDI)やISO 3320-1、JIS B 0405、などと併せ、ゴム加工メーカーが独自の自社規格を設定し、採用されるケースもあるようです。
ゴム成形品に適応される主な公差の規格
〇ドイツ技術者協会制定 VDI2005 によるゴム製品の寸法公差に関する規格
ドイツ技術者協会(VDI)が制定した技術規格の一つで、工業用ゴム製品の寸法公差に関する基準として、日本国内でも広く参照されています。1級、2級、3級の3段階のレベルがあり、級が小さいほど精度が高くなりますが、比較的に運用がしやすい寸法公差であるといった特徴があります。また、500mm以上の箇所については、パーセンテージで公差が定められます。また製品によっては、特別に精度が必要になる箇所は個別に公差を指定し、それ以外の箇所ではこのVDI2005の公差を採用するというケースもありますので、この場合、特定の部分だけの極端に公差が厳しいとなってしまう場合があります。
〇ISO 3302-1 によるゴム製品の寸法公差に関する国際規格
このISO規格では、製造時にバリの厚みや上型と下型、あるいは入れ子に接することで寸法が変わりやすい部分(C)とそうではない部分(F)によって公差のレベルは変わるという考えが用いられています。つまり、バリの厚みや金型の変位により、影響を受けるゴム製品の箇所は、Cの基準を用いる事で少し公差がゆるくなります。
Fは、fixed dimension、バリ厚やゴム成形時に金型の変位の影響を受けない個所。…公差厳しめ
Cは、closure dimension、バリ厚やゴム成形時に金型の変位の影響を受ける個所。…公差緩め
また、ISOでのゴム製品の公差はClass M1からM4まであります。Classがある事により製品に求められる寸法精度と、個所の組み合わせによって公差を使い分けることができます。M4は寸法精度が重要となる用途ではない為、CとFの区別がありません。
バリの厚みについてもクラス分けがなされており、X0からX5の6段階に分類されています。
※PL(パーティングライン)のない箇所のみに適用が可能です。なお、製品(公差指定箇所)の寸法によって公差の値が異なるのは他の規格と同じですが指定範囲がVDEと違い、寸法の範囲が「超」と「以下」になっている点に注意が必要です。各寸法範囲の上限は未満ではなく、以下となりますのでその値までを含む区分になります。
〇JIS規格によるゴム製品の寸法公差に関する規格
JISにはゴム製品専用の規格がなく、JIS B 0405(普通公差:個々に公差の指示がない長さ寸法および角度寸法に対する公差)が適用されるケースが散見されますが、本規格は金属加工等と同じ基準になるため精度がかなり高く、ゴム製品の加工の場合、部位や加工方法、材質によっては公差の遵守がかなり難しくなります。その為、ゴムとそれ以外の複合的(異素材との一体成形など)な材質を使用している製品の場合、ゴムの部分だけを別図面にしたり、個別指定で別の公差にするという方法も使われます。
当社における、寸法公差の基準
寸法公差は、各個別の図面に公差が表記されている場合、そちらを適用させるのが前提ですが公差の記載がない場合、又は公差の範囲が適用困難である場合に、ゴム素材に合わせた寸法の一般公差を当社独自に設定しています。しかし、個別のご要望や協議等にて、本寸法公差よりも厳しい内容でご対応するケースもございますので、お問い合わせください。
〇一般成形品
〇ゴムシートの厚み一般公差
シリコーンゴム製品
【シリコーンゴムシート】色も厚みも硬度も選べる自社製造販売
合成ゴム製品(※)
CR(硬度A30~A80)
NBR(硬度A50~A80)
EPDM(硬度A30~A80)
ACM(硬度A10~A70)
ウレタン(硬度A50~A80)
IIR(硬度A20~A70)
高透明ウレタン(硬度A60~A70)
※合成ゴムの公差につきまして300㎜角が対象となります。450㎜角、500㎜角につきましてはお問い合わせ願います。
お問い合わせ
シリコーンゴムは有機合成ゴムに比べ、特に耐熱性、耐寒性にすぐれ、更に耐候性、熱伝導性、電気特性、反発性等がはるかに優れています。特に耐候性に関しては、耐候性試験を10年以上続けても劣化がほとんどなく、試験結果より推定すると100年程度でもゴ[…]
私たちの会社では、シリコーンゴム製品の可能性を追求しています。 シリコーンゴム優れた特徴として 高度な耐久性・耐熱性・対オゾン性を持ち合わせます。更に電気特性・非粘着性にも優れ、精密電子機器部品、自動車関連部品・医療関連機器・食品関連[…]
「品質は良くて当たり前」顧客からはそう言われていますし、当社もそう認識しており品質維持は最優先に取り組んでおります。 当社はシリコーンゴムの持つ特性をよく理解しているからこそ、モノ造りの課程で生じる障害や難題を最短で解決することができ[…]