接点ゴムにおける導電ゴムチップのインサート忘れを改善

多種多様なコンタクトラバーを生産していますが、導電チップを加硫接着する仕様の
製品で重大な不具合を発生させ、多方面にご迷惑をおかけした事故が昨年ございました。

この不具合の原因調査と改善を事例としてご紹介いたします








       
【考察】
過去の例より、金型温度低下(=加硫温度低下)により、導電チップの接着強度が
落ちていまい、成形後に導電チップが脱落してしまうことは認識していました。

この現象をラバーの荷重を規格内することを前提に、どの成形条件であれば不具合
の発生を改善できるのか、検証を行いました。

検証対象図番 XXXXXXXXXX
取り数 20個取り
使用材料 シリコーンゴム60°
加流時間 360秒(6分)
成形圧力 80圧
使用プレス 200t渡辺プレス
導電チップ規格 φ2.0 X 0.5t
導電チップ使用量 480個/ショット(24個/シート)


検証項目 評価
@成形開始温度 170℃
    170℃スタートでは、チップ剥がれなし。
    荷重は、規格内ではあるが、若干ではあるが高めの傾向あり。
    過加硫気味でラバー表面に打コン状のキズが発生。
NG
A成形開始温度 165℃
    165℃スタートでは、チップ剥がれなし。
    荷重は、規格内ではあるが、マイナス傾向あり。
OK
B成形開始温度 160℃
    160℃スタートでは、チップ剥がれなし。
    荷重も@165℃と同様にマイナス傾向、特に大きな変化は見られない。
OK
C成形開始温度 155℃
    155℃スタートでは、チップ剥がれ発生。2箇所の剥がれが発生するシートあり。
    荷重は、マイナス傾向でA160℃品と比べて著しくかけ離れている事はない。
NG
D成形開始温度 150℃
    150℃スタートでは、ボタン部分の生 発生。チップ剥がれ、荷重ともに
    スペックアウトしている。
NG
E成形開始温度 165℃+材料をSIR65°に変えて成形(200圧)
    165℃スタート+SIR65°では、荷重のマイナス傾向に対しての検証。
    成形圧力はフル圧の200圧にて成形。
    荷重は高めの傾向で全てスペック内に納まる。
OK


【豆セット時にかかる作業時間】

8分〜12分バキューム治具から金型へチップをセットした際に、金型カップにチップが
スムーズに納まる箇所はほとんど無く、カップの上に豆が乗っている状態なので、
チップを一つずつカップの中に押し込んであげなくてはならないため、セットに大幅な
時間を要してしまう。

また、バキューム治具から金型にチップをセットする際に、チップのこぼれ状況が都度
違うため作業時間が一定しない。



【豆セット時にかかる作業時間】
START 165℃
1分後 163℃
2分後 162℃
3分後 160℃
4分後 159℃
5分後 157℃
6分後 156℃
7分後 155℃
8分後 154℃
9分後 152℃
10分後 150℃
11分後 149℃
12分後 148℃
13分後 146℃
14分後 145℃


【対策】


チップ剥がれの検証結果から、剥がれの原因として温度が大きく起因していると判定。
金型表面温度 160℃以下は不安定要素を含むものとし、160℃〜165℃で管理することとする。

金型表面温度を165℃とした場合、金型の開放時間による温度変化結果から、3分を過ぎて
しまった場合は、ピッチセット後金型を予熱し、その後に加流をスタートさせることを標準とする。

現状3分間でチップのセットを完了させることは不可能なので、毎ショット予熱させることになる。
3分間の管理方法は、加流が終了してから豆セット終了までの時間をタイマーを使用して
管理することとする。

開放時間による加流制限設定のついているプレスはそれを使用するものとする。

成形作業仕様書に温度管理の注意事項を追記し注意を促し、指導していく。



【まとめ】

今回の検証で、やはり予想していたとおり、金型の温度の低下によって、導電チップの
接着が弱くなり、結果的に剥がれてしまうことが確認できた。

金型の開放時間を3分と決め、標準化することで、温度が低下してしまった状態での
成形に歯止めをかけて、導電チップの剥離を皆無にしていきます。



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