RoHS2指令への展開(フタル酸フリー)

2015年6月にRoHS改定に際し,禁止物質(制限物質)を定めた2011/65/EUのAnnexUに置き換わりRoHS2の(EU)2015/863が公布され,フタル酸エステル4物質(DIBP,DBP,BBP,DEHP)が追加されました。

規制物質 最大許容濃度
フタル酸ジイソブチル (DIBP) 1,000ppm
フタル酸ジ-n-ブチル (DBP) 1,000ppm
フタル酸ブチルベンジル (BBP) 1,000ppm
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) (DEHP) 1,000ppm

今回追加された4物質を含め,合計10物質の規制が始まる時期は,カテゴリによって定められております。
 ・カテゴリ1〜7,10,11 :2019年7月22日
 ・カテゴリ8,9 :2021年7月22日


当社では新たに追加されたフタル酸エステル4物質の中で,合成ゴムの可塑剤として一部DEHPを使用しておりますので,DEHPフリーに向けて代替え材を提案しております。



DEHPの現状報告
可塑剤 特にフタル酸エステル(フタレート)6物質(DEHP,DBP,BBP,DINP,DIDP,DNOP)は,予防的な措置として,日米欧でほぼ同様の使用制限が課せられています。このうち,DEHPについては,欧州ではREACH規制で認可物質に指定され,米国でも安全のあり方が検討されていますが,日米欧が実施したDEHPのリスク評価では何れの評価書でも「さらなる措置を講ずる必要はない」との科学的な結論に至っています。
(1)欧州のREACH規制
DEHP,DBP,BBPはREACHの認可(Authorization)物質となっています。DEHPは詳細なリスク評価が終わっており,現行の規制を超える使用制限は必要ないと結論されています。そのためEUの可塑剤業界は現在,認められているほぼすべての用途について認可が得られるであろうと見ています。

(2)国内の食品用器具および容器包装に関する規格基準
食品衛生法において,「油脂,脂肪性食品を含有する食品に接触する器具および容器包装には,DEHPを含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用してはならない。ただし,DEHPが溶出または浸出して食品に混和するおそれのない場合はこの限りではない。」(平成14年厚生労働省告示267号,2002年)とされています。

(3)化審法の動向
2011年4月1日,優先評価化学物質として指定されました。今後国(NITE)による2段階のリスク評価を経て第2種特定化学物質に該当するかどうか検討される予定です。DEHPは,豊富な試験データがあり,長年にわたり安全に使用されてきています。また,これまで日欧で行われたリスク評価においては,現行の使用制限を超える制限は不要との結論が出ております。



DEHPフリー材への取組と代替え材
当社でも一部CR材,NBR材は可塑剤としてDEHP添加の配合を使用しておりましたが現在はDEHPフリー材として新たな配合での生産を開始しております。一例ではございますが,CR60°及びNBR40°DEHP含有材とDEHPフリー材の物性値を紹介致します。
素材:CR60° 試験条件 DEHP含有材 DEHPフリー材
硬度(A) JIS K6253 61 63
引張強さ(Mpa) JIS K6251 9.2 9.8
伸び(%) 340 380
圧縮永久歪み(%) JIS K6262 55 57
老化 硬さ変化(A) JIS K6257 +13 +11
引張強さ変化率(%) -3.3 +2.0
伸び変化率(%) -31.2 -25.8
耐油 硬さ変化(A) JIS K6258 -19 -16
引張強さ変化率(%) -22.8 -16.3
伸び変化率(%) -28.8 -24.7
体積変化率(%) +54.5 +48.4
※試験油:潤滑油No.3(IRM903・100°×72h)

素材:NBR40° 試験条件 DEHP含有材 DEHPフリー材
硬度(A) JIS K6253 44 45
引張強さ(Mpa) JIS K6251 12.3 13.0
伸び(%) 910 980
圧縮永久歪み(%) JIS K6262 54 57
老化 硬さ変化(A) JIS K6257 +11.0 +5.0
引張強さ変化率(%) +5.7 +5.4
伸び変化率(%) -36.5 -34.8
耐油 硬さ変化(A) JIS K6258 +11.0 +2.0
引張強さ変化率(%) +14.6 +7.7
伸び変化率(%) -30.5 -27.1
体積変化率(%) -11.0 -2.6
※試験油:潤滑油No.1(IRM901・120°×72h)


2018年2月更新

このページのトップへ